それは美しい景色だった。

ある日の夕方。僕たちは土砂降りの中いつものように愛を育んでいた。雨の音が聞こえなくなるまで。雨宿りをした。雨が止むまで。初めて入った彼女のお城の中。それはそれは良い眺めだった。愛の漂う雰囲気。その中には閑散とした空気も混ざっていた。お互い濡れた姿を見て笑い合う。彼女は私の体を守ろうと動いてくれた。それでも雨で濡れた体は乾かなかった。それでも乾かそうと必死な彼女。何か考えがあるのだろうか。そんなことを感じさせる動き、態度であった。私は相変わらず緊張していた。なぜなら彼女のお城に入るのは初めてで、何か恐怖を感じたからだ。その時の恐怖はその時のワクワク感に揉み消されていたのかもしれない。ふと、空腹を感じた。食事でもしようじゃないか。彼女のお城はとてもとても広かった。どこまであるのかなといった感じだ。私は自前の食事を彼女と分け合った。美味しく食べた。彼女は私を包み込むようにした。私は心臓の鼓動を上げ気分を高揚させた。振り向くと彼女は笑っていた。良かったね。おめでとう。その後はもう私はベルトコンベアにのったキャリーバッグのような振る舞いであった。笑顔を絶やさずただただ愛し続けた。いつ終わりが来ようとも。私は勘付いていた。いつか終わりが来るのだろう。と。それは空想なんかじゃなくて、目に見えたものから判断したものだった。雨が悲しみの涙に見えてくる。安らぐ時間などなかった。


今日が最後。それが毎日だったのだから。


見ていただきありがとうございました。